「OB・OG訪問はしたほうがよいと聞くけれど、何のために行くの?」
「まだ志望企業が決まっていなくても、話を聞いてよいの?」
と迷っていませんか。
OB・OG訪問は、企業で働く社会人に話を聞き、仕事や会社への理解を深める機会です。
志望動機を考える材料を集めるだけでなく、自分が働くうえで大切にしたいことや、入社先を選ぶ基準を見つけるためにも活用できます。
大切なのは、訪問すること自体を目標にせず、
「何を確かめ、その情報をどう使うか」
を決めることです。
本記事では、元日系大手企業の人事で、キャリアアドバイザーとして延べ3,000名以上の学生と接してきた成田さんの経験も交えながら、OB・OG訪問の目的、役立つ場面と時期、基本的な流れ、得た情報の活用方法を解説します。
訪問前後の志望動機の例も紹介するので、自分の就活にどう取り入れるかを考えてみてください。
OB・OG訪問とは?目的と行う理由
まずは、OB・OG訪問とは何をするものなのか、なぜ就活で活用されているのかを整理していきましょう。
OB・OG訪問とは何をすること?
OB・OG訪問とは、企業で働く先輩や社会人に、仕事内容、働き方、キャリア、就職活動の経験などを聞く活動です。
OBは「Old Boy」、OGは「Old Girl」の略で、一般に学校などの卒業生を指します。
就活では、同じ大学の卒業生に限らず、関心のある企業の社員に話を聞く場合もあります。
対面で会う方法のほか、オンラインで話を聞く方法もあります。
企業説明会より少人数で対話できるため、自分が気になっている点を掘り下げやすいのが特徴です。
まずは企業の公式情報を読み、そのうえで、
「実際の仕事ではどうなのか」
を質問すると、理解を深めやすくなります。
成田さんも、OB・OG訪問では「とりあえず社員に会う」のではなく、自分が知りたいことを明確にしてから話を聞くことが重要だと考えています。
学生から相談を受けていると、
「社風を知りたいです」
「働きやすい会社なのか知りたいです」
といった抽象的な状態で企業を見ているケースもあります。
しかし、「社風」や「働きやすさ」の意味は人によって異なります。
例えば、
若手でも意見を言いやすいのか
分からないときに上司へ相談しやすいのか
個人で進める仕事が多いのか
チームで仕事を進めるのか
若手のうちから顧客を担当するのか
など、自分が知りたいことを具体化すると、OB・OG訪問で確認すべき質問も見えてきます。
OB・OG訪問は、企業について何となく詳しくなるためではなく、自分が企業を選ぶために必要な情報を集める機会として活用しましょう。
OB・OG訪問をする理由・メリット
OB・OG訪問をする理由は、企業の情報と、自分自身の仕事選びを結びつけるためです。
採用サイトに「若手から活躍できる」と書かれていても、任される仕事の範囲や、周囲から受けられる支援までは想像しにくいかもしれません。
社員の経験を聞くことで、その言葉が実際の業務で何を意味するのかを考えられます。
例えば、
入社直後に担当した仕事
仕事で難しかったこと
どのように上司や同僚と協力したか
などを聞けば、華やかな成果だけでなく、仕事に必要な工夫や地道な取り組みも見えてきます。
その内容に自分が面白さを感じるのか、どのような力を生かせそうかを考えることが、企業選びや志望動機につながります。
成田さんがこれまで学生の就活相談を受ける中でも、
「ホームページは読んだけれど、実際にどんな仕事をするのかイメージできない」
という悩みはよくあります。
企業の採用サイトには、
「若手から活躍できる」
「顧客に寄り添う」
「チームワークを大切にする」
などの言葉が書かれていても、それが実際の仕事でどのような行動を意味するのかまでは分からないことがあります。
そこでOB・OG訪問では、
「若手から活躍するとは、入社1〜2年目で具体的にどんな仕事を任されるのですか?」
「顧客に寄り添うために、普段どのような行動をしていますか?」
など、抽象的な企業の言葉を具体的な仕事へ変換する質問をしてみるのがおすすめです。
そこで得た情報と、
「自分はその仕事を面白いと思えるか」
「自分の強みを活かせそうか」
を照らし合わせることが、企業選びでは重要です。
ただし、社員一人の経験が会社全体を表しているとは限りません。
部署、職種、入社年次によっても状況は異なります。
相手の経験を一つの判断材料として受け止め、公式情報やほかの社員の話と照らし合わせることが大切です。
OB・OG訪問はいつ役立つ?目的別の活用場面と時期
OB・OG訪問を行うタイミングは、
「何月になったらOB・OG訪問をする」
と一律に考えるより、
「自分は今、何を決めたいのか」
から逆算すると整理しやすくなります。
特に活用しやすいのは、以下の3つの場面です。
興味のある業界・企業・職種を見つけたいとき
志望動機を深め、ES・面接に備えたいとき
内定先を比較し、入社先を決めたいとき
興味のある業界・企業・職種を見つけたいとき
就活を始めたばかりの時期は、業界名や企業の知名度だけで応募先を選びがちです。
しかし、同じ業界でも会社によって事業が異なり、同じ会社でも職種によって日々の仕事は変わります。
働く人の話を聞くことで、企業名だけでは分からない仕事の違いを知るきっかけになります。
この場面では、
どのような相手に、どのような価値を提供しているか
一日の中で何に時間を使っているか
どんな場面でやりがいを感じるか
どんな場面で難しさを感じるか
などを確認してみましょう。
仕事内容を具体的に知ると、自分が興味を持てる点と、想像と異なる点を整理できます。
成田さんが就活生と話していると、就活初期には、
「有名企業だから」
「なんとなく業界のイメージが良いから」
という理由で企業を見ている学生もいます。
しかし、会社名や業界名だけでは、自分が実際にどのような仕事をするのかは分かりません。
例えば同じIT業界でも、
法人営業
エンジニア
コンサルタント
企画
カスタマーサクセス
では仕事内容が大きく異なります。
そのため、まだ志望企業が決まっていない段階でも、
「法人営業では1日のうち何に時間を使いますか?」
「仕事をしていて、一番難しいと感じるのはどんな場面ですか?」
「入社前と入社後で仕事のイメージが変わった部分はありますか?」
などを聞くことには意味があります。
企業を決めてからOB・OG訪問をするのではなく、企業や職種を選ぶためにOB・OG訪問をするという使い方もできます。
時期は、インターンシップや本選考の応募先を絞り込む前が一つの目安です。
志望企業が明確でなくても、
「法人営業の仕事を知りたい」
など、確認したいテーマがあれば相談する目的を伝えられます。
依頼時には、現在は業界・職種研究の段階であることを率直に説明しましょう。
志望動機を深め、ES・面接に備えたいとき
「理念に共感した」
「成長できる環境に魅力を感じた」
という志望動機を、もう一段具体的にしたい場面でもOB・OG訪問を活用できます。
社員の行動や仕事の進め方を知ることで、企業のどの特徴に魅力を感じたのか、そこで自分が何をしたいのかを考えやすくなるためです。
例えば、
「顧客に寄り添う営業」
に関心があるなら、
「顧客の課題をどのように把握していますか?」
「社内の誰と協力して提案を作っていますか?」
などを聞いてみましょう。
抽象的な企業イメージを、自分が働く姿として捉える材料が得られます。
成田さんが学生の志望動機を見ていると、
「企業理念に共感しました」
「若手から成長できる環境に魅力を感じました」
「顧客に寄り添う姿勢に惹かれました」
といった内容で止まってしまっているケースがあります。
こうした志望動機が必ず悪いわけではありません。
ただし、
「具体的に企業のどんな行動や仕事に魅力を感じたのか」
まで説明できると、志望理由はより明確になります。
例えばOB・OG訪問で、
「若手でも顧客との商談を担当し、分からない部分は先輩と相談しながら提案を作っている」
という話を聞いたとします。
そこで、
「若手から活躍できる会社だから志望します」
だけで終わるのではなく、
「自分もアルバイトで、先輩へ相談しながら徐々に仕事を任せてもらった環境で成長できた。そのため、挑戦と周囲のサポートが両立している環境に魅力を感じる」
など、社員から聞いた話と自分自身の経験をつなげることで、その人らしい志望動機になります。
OB・OGに「志望動機の正解」を教えてもらうのではなく、自分が考えている志望理由を確かめ、具体化する場として使いましょう。
時期は、企業研究をしたうえで、ESの提出や面接までに振り返る時間を確保できる段階を目安にします。
締め切り直前の依頼では日程が合わないこともあるため、早めの調整が必要です。
内定先を比較し、入社先を決めたいとき
複数の内定先で迷うときや、入社後の働き方に不安があるときにも、社員との対話が判断材料になります。
自分が重視する条件を、具体的な仕事や制度の利用実態と照らし合わせることで、納得できる選択に近づけます。
例えば、専門性を高めたいなら、
配属後の業務
学習機会
先輩社員のキャリア
などを聞いてみましょう。
チームで働くことを重視するなら、
役割分担
相談の仕方
評価のされ方
などを確認する方法があります。
福利厚生などは制度の有無だけでなく、
「実際にどのように使われていますか?」
と聞くと、理解が具体的になります。
成田さんが学生の相談を受ける中でも、内定後に、
「A社とB社のどちらに行けばいいですか?」
と聞かれることがあります。
しかし、企業選びには全員に共通する正解があるわけではありません。
大切なのは、
自分が働くうえで何を重視しているのかを明確にし、その条件を各企業で確かめること
です。
例えば、
「若いうちから成長したい」
だけでは判断基準として曖昧です。
どのような仕事を任されたいのか
どんな上司や先輩から学びたいのか
専門性を高めたいのか
幅広い経験を積みたいのか
チームで働きたいのか
まで具体化してみましょう。
そのうえでOB・OGに同じ観点の質問をすると、企業同士を比較しやすくなります。
ただし、社員一人の経験だけで会社全体を判断するのは避けましょう。
配属や待遇など、会社としての確定情報が必要な事項については、社員個人の経験談だけで判断せず、人事など正式な窓口へ確認してください。
時期は、内定承諾の判断期限までに検討時間を残せるタイミングが目安です。
OB・OG訪問の流れ・やり方
OB・OG訪問は、
目的を決める
↓
相手を探す
↓
依頼する
↓
事前準備をする
↓
当日話を聞く
↓
訪問後に振り返る
という流れで進めます。
ここでは全体像を解説します。
相手の探し方から依頼、当日、訪問後までの具体的な進め方を詳しく知りたい人は、**「OB訪問のやり方|相手の探し方から当日・訪問後まで」**もあわせて確認してください。
【関連記事:OB訪問のやり方|相手の探し方から当日・訪問後まで】
訪問の目的と、話を聞きたい相手を明確にする
最初に、
「訪問後に何が分かっていたらよいか」
を言葉にします。
「企業について知る」
だけでは広いため、
「若手営業の仕事内容を知り、自分に合うか考える」
など、判断したいことまで具体化しましょう。
成田さんがOB・OG訪問前の学生にまず考えてほしいのも、
「訪問が終わったときに、何が分かっていれば成功なのか」
という点です。
例えば、
「〇〇株式会社について詳しくなりたい」
だけでは目的が広すぎます。
一方、
「法人営業の入社1〜3年目の仕事内容を知り、自分がその仕事をやりたいと思えるか判断したい」
まで具体化できれば、
「若手営業社員に話を聞きたい」
と相手も決めやすくなります。
キャリアについて知りたいなら中堅社員、若手の仕事について知りたいなら若手社員など、知りたいことによって会うべき相手は変わります。
OB・OG訪問では、企業名から相手を選ぶだけでなく、
「誰に聞けば、自分が知りたいことを確認できるのか」
まで考えてみましょう。
OB・OGを見つける
OB・OGは、
大学のキャリアセンター
ゼミの先輩
部活動・サークルの先輩
企業が案内する社員面談
OB・OG訪問のマッチングサービス
などから探します。
紹介や名簿を利用する場合は、連絡先の利用ルールを確認してください。
希望する相手が見つからないときは、同じ企業だけに限定する必要はありません。
例えば、
「法人営業という仕事について知りたい」
のであれば、近い業界や職種の社員から話を聞くことでも、知りたいことの一部を確認できる場合があります。
大切なのは、
「有名企業の社員に会うこと」ではなく、「自分の疑問に答えられる人に会うこと」
です。
連絡して日程を調整する
初めて連絡するときは、
大学名・氏名
連絡先を知った経緯
OB・OG訪問をお願いしたい理由
聞きたいテーマ
候補日時
対面かオンラインか
希望する所要時間
などを簡潔に伝えます。
候補日時は複数示すと、相手が調整しやすくなります。
日程が決まったら、場所や接続方法などの認識が一致しているか確認しましょう。
OB・OGは自分のために時間を使ってくれます。
自分の都合だけで依頼を進めるのではなく、相手の予定を尊重して調整することが大切です。
実際に送る依頼メールの書き方や、日程調整・前日確認・お礼までの例文は、**「OB訪問のメール例文|依頼・日程調整・お礼まで」**で詳しく解説します。
【関連記事:OB訪問のメール例文|依頼・日程調整・お礼まで】
企業研究・質問の整理など事前準備をする
訪問前には、最低限の企業研究をしておきましょう。
企業の公式サイトや採用情報を読み、
「調べて分かったこと」と「まだ分からないこと」
を分けます。
限られた時間を有効に使うため、質問にも優先順位を付けましょう。
例えば、
「仕事内容を教えてください」
と聞くより、
「採用サイトでは課題解決型の営業と紹介されていますが、実際に顧客の課題を見つけるためにどのようなことをしていますか?」
と聞く方が、確認したい内容が具体的に伝わります。
成田さんが人事の立場から見ても、OB・OG訪問前に最低限の企業研究をしておくことは重要です。
おすすめの考え方は、
「検索すれば分かることは事前に調べ、人にしか聞けないことをOB・OG訪問で聞く」
ことです。
例えば、
実際の仕事内容
仕事で難しいこと
意思決定の仕方
上司や同僚との関わり
入社前後のギャップ
若手社員がつまずきやすいこと
仕事で面白いと感じる瞬間
などは、働いている本人だからこそ具体的に答えられる質問です。
一方、相手の担当業務から外れる質問や、答えにくい非公開情報を無理に求めることは避けましょう。
「何を質問すればいいかわからない」という人向けに、目的別の質問例や避けた方がよい質問は、**「OB訪問で聞くべき質問は?目的別の質問例とNG質問」**で詳しく紹介します。
【関連記事:OB訪問で聞くべき質問は?目的別の質問例とNG質問】
当日は目的に沿って話を聞く
当日は、挨拶と簡単な自己紹介をした後、
「本日はお時間をいただきありがとうございます」
と感謝を伝え、今日確認したいことを簡単に説明します。
用意した質問を順番に読み上げるだけではなく、気になる回答があれば深掘りしてみましょう。
例えば社員から、
「若手でもかなり裁量があります」
と言われた場合、そのまま次の質問へ進むのではなく、
「具体的にはどのような仕事を任されるのでしょうか?」
「その仕事を任されたのは入社何年目でしたか?」
「困ったときには誰に相談するのでしょうか?」
などと聞いてみます。
「裁量がある」という同じ言葉でも、具体的な仕事内容や支援体制まで聞けば、自分にとって魅力的な環境なのか判断しやすくなります。
成田さんも、事前に作った質問をすべて聞くことより、相手の回答から気になった部分を深掘りすることを重視しています。
メモには事実だけでなく、
「自分が面白いと思ったこと」
「想像と違ったこと」
「さらに聞きたいと思ったこと」
なども残しておくと、訪問後の振り返りに使いやすくなります。
録音や録画をしたい場合は、必ず事前に相手の許可を得てください。
終了時刻も意識し、最後に学んだことと感謝を伝えて終えましょう。
質問を事前に準備するときは、**「OB訪問で聞くべき質問は?目的別の質問例とNG質問」**も参考にしてください。
【関連記事:OB訪問で聞くべき質問は?目的別の質問例とNG質問】
お礼メールを送り、内容を振り返る
訪問後は、できれば当日中を目安にお礼を伝えましょう。
話を聞けたことへの感謝に加えて、
特に印象に残った話
新しく理解できたこと
今後の企業研究へどう生かしたいか
などを簡潔に書きます。
お礼メールで何を書けばよいか迷う場合は、依頼から訪問後のお礼までまとめた**「OB訪問のメール例文|依頼・日程調整・お礼まで」**を確認してください。
【関連記事:OB訪問のメール例文|依頼・日程調整・お礼まで】
あわせて、記憶が鮮明なうちに訪問内容を振り返りましょう。
成田さんがOB・OG訪問で特に大切だと考えているのも、訪問後の振り返りです。
社員に話を聞いただけで、
「いい会社だった」
「社員の雰囲気が良かった」
と終わってしまうと、企業選びには十分活かせません。
訪問後は、
新しく分かった事実
自分が魅力を感じたこと
想像と違ったこと
まだ分からないこと
次に確認したいこと
を整理してみましょう。
例えば、
「若手から裁量がある」
という話を聞いて魅力を感じたなら、
「なぜ自分は裁量がある環境に魅力を感じるのか?」
まで考えてみてください。
「自分で考えて動ける環境が好きだから」
「過去に任せてもらった経験で成長を実感したから」
など、自分自身の価値観が見えてくることがあります。
OB・OG訪問は企業研究だけではなく、自己分析にもつなげられます。
また、相手探しから訪問後の振り返りまで一連の流れを確認したい場合は、**「OB訪問のやり方|相手の探し方から当日・訪問後まで」**で詳しく解説します。
【関連記事:OB訪問のやり方|相手の探し方から当日・訪問後まで】
OB・OG訪問で得た情報を就活に生かす方法
話を聞いて満足するだけでは、OB・OG訪問を十分に活用できません。
得た情報を自分の価値観や経験と結びつけ、
業界・企業選び
志望動機
ES
面接
入社先の判断
などへ反映していきましょう。
業界・企業への理解を深め、自分の希望と照らし合わせる
訪問後は、相手が話した事実と、自分自身の解釈を分けて整理することが重要です。
例えば、
「若手社員が顧客への提案を担当した」
という話を聞いたとします。
しかし、それだけで、
「この会社では誰でもすぐに大きな裁量を持てる」
と判断することはできません。
その社員の、
担当業務
経験年数
部署
支援体制
などによって状況は異なるからです。
そのうえで、
「自分はどこに魅力を感じたのか」
「どの点に不安が残ったのか」
を書き出しましょう。
例えば、
「任される仕事の範囲が広いこと」
より、
「困ったときには先輩へ相談しながら、自分で考えて仕事を進められること」
に魅力を感じたのであれば、
自分は挑戦できることだけでなく、周囲へ相談できる環境も重視している
と分かります。
OB・OGから聞いた情報を、自分の就活軸を具体化する材料として使いましょう。
聞いた話と自分の経験を結びつけ、志望動機を磨く
OB・OG訪問は、志望動機を具体化する材料にもなります。
ただし、社員から聞いたエピソードを、そのまま志望動機へ書けばよいわけではありません。
重要なのは、
「自分がなぜその話に魅力を感じたのか」
まで考えることです。
例えば社員から、
「顧客の要望を聞くだけでなく、その背景にある課題まで考えて提案する」
という話を聞いたとします。
その学生自身にも、
「アルバイトでお客様から言われたことにそのまま対応するのではなく、困っている原因を考えて改善した経験」
があれば、
企業で行われている仕事と、自分がこれまでやりがいを感じてきた行動
を結びつけられます。
成田さんが志望動機を見る際に重視しているのも、
「企業について詳しく書いているか」だけではなく、「企業の特徴と本人の経験がつながっているか」
という点です。
例えば、
「OB訪問で社員の方の話を聞き、魅力を感じました」
だけでは、本人がなぜ魅力を感じたのかが分かりません。
志望動機を整理するときは、
自分が取り組みたいこと
↓
OB・OG訪問で分かった仕事の特徴
↓
その特徴に惹かれた自分自身の経験
↓
入社後にどう関わりたいか
という順番で考えてみましょう。
また、訪問先で聞いた話が他社にも当てはまりそうな内容であれば、それだけで企業固有の志望理由にはなりません。
公式情報や競合企業との比較も使いながら、
「なぜその会社なのか」
まで検討することが重要です。
【例】OB・OG訪問前後で志望動機はどう変わる?
ここでは、法人向けITサービス企業を志望する学生を想定した架空例で見てみましょう。
訪問前の志望動機
「私は、ITを通じて企業の課題を解決したいと考え、貴社を志望しています。お客様に寄り添う姿勢に魅力を感じました。アルバイトで培ったコミュニケーション力を生かし、営業として貢献したいです。」
この段階では、
「何をもって『寄り添う』と考えているのか」
「アルバイトの経験をどのように仕事へ生かすのか」
が十分に伝わりません。
OB・OG訪問で確かめたこと
営業担当の社員から、
「顧客の要望をそのまま受け取るだけではなく、現場の業務まで聞き、困りごとの原因を整理している」
「サービス導入後も利用状況を確認し、必要に応じて改善提案をしている」
という経験を聞いたとします。
学生自身には、飲食店のアルバイトで、
「スタッフへの聞き取りから注文の引き継ぎミスの原因を見つけ、確認方法の改善に取り組んだ」
という経験があったとします。
すると、社員から聞いた仕事の進め方と、自分が過去にやりがいを感じた経験がつながります。
訪問後の志望動機
「私は、顧客の業務を理解し、ITの導入後も改善に関わる営業を目指し、貴社を志望しています。社員の方から、現場への聞き取りで課題を整理し、導入後の利用状況を踏まえて追加提案を行った経験を伺い、その仕事の進め方に魅力を感じました。私も飲食店のアルバイトで、スタッフへの聞き取りを基に注文の引き継ぎ方法を見直し、ミスの削減に取り組みました。この経験を生かし、顧客の要望の背景まで理解して提案できる営業を目指したいです。」
変わったのは、文章表現の華やかさではありません。
志望する根拠が具体的になったことです。
「顧客に寄り添う」
という抽象的な言葉が具体的な仕事の進め方に変わり、それが自分自身の経験ともつながりました。
ただし、この例だけで他社との違いまで説明し切れているわけではありません。
応募時には、その企業の事業・顧客・サービスなどへの関心も、自分の言葉で補いましょう。
企業を比較し、志望順位・入社先の判断に生かす
複数企業の社員から話を聞いたら、同じ観点で比較してみましょう。
例えば、
比較軸 | A社 | B社 |
|---|---|---|
若手の仕事内容 | ||
顧客との関わり方 | ||
上司・先輩の支援 | ||
育成環境 | ||
キャリア | ||
働き方 |
など、自分が重視する項目をそろえます。
成田さんが企業選びについて学生から相談を受ける際も、
「どちらの企業の方が良いですか?」
という質問に対して、企業だけを見て答えを出すことはおすすめしていません。
重要なのは、
企業の違いと、自分が大切にしたいことをセットで考えること
です。
例えば、
「A社では若手から顧客を担当する」
「B社では先輩社員と一緒に担当してから独り立ちする」
という違いがあったとします。
どちらが良いかは人によって変わります。
早く一人で挑戦したい人ならA社に魅力を感じるかもしれません。
一方、最初は先輩から学びながら仕事を覚えたい人ならB社に魅力を感じる可能性があります。
また、
「A社では仕事内容が具体的に分かったが、B社ではまだ分からない」
という場合、
「A社の方が良い」
とすぐ判断する必要はありません。
B社については、
「まだ判断材料が足りない」
と考え、追加で確認すればよいからです。
「情報がないこと」と「自分に合わないこと」は分けて考えましょう。
OB・OG訪問のよくある質問
OB・OG訪問は必ずしたほうがよい?
すべての就活生に一律に必要な活動ではありません。
成田さんの考えでも、OB・OG訪問は全員が必ずやらなければならない就活対策ではありません。
目的もないまま、
「周りがやっているから」
「OB訪問をした方が内定しそうだから」
という理由で人数だけ増やしても、就活が前に進むとは限りません。
例えば、
仕事内容をイメージできない
企業同士の違いが分からない
志望動機が抽象的なまま
内定先を比較する材料が足りない
といった疑問があるなら、OB・OG訪問を活用する価値があります。
反対に、説明会やインターンシップなどですでに必要な情報を得られているなら、まずはそれを整理する方法もあります。
企業が選考の一環として社員面談などを案内している場合は、その案内に沿って対応しましょう。
大学のOB・OGに知り合いがいない場合は?
知り合いがいなくても問題ありません。
まずは、
大学のキャリアセンター
ゼミやサークルの先輩
企業が案内する社員との交流機会
OB・OG訪問サービス
などを確認してみましょう。
同じ大学の卒業生でなくても、話を聞ける場合があります。
最初から個人的なつながりがなくても、利用できる窓口を探すところから始められます。
相手の探し方や、見つけた後の具体的な進め方は、**「OB訪問のやり方|相手の探し方から当日・訪問後まで」**で詳しく解説します。
【関連記事:OB訪問のやり方|相手の探し方から当日・訪問後まで】
何人くらいに話を聞けばよい?
「〇人訪問すれば十分」という正解はありません。
成田さんも、訪問人数より、
「自分が企業選びをするために必要な疑問が解消できたか」
を重視しています。
例えば、一人の若手営業社員から話を聞いて、
「若手営業の仕事内容を知りたい」
という疑問が十分に解消されたのであれば、それ以上人数を増やす必要はありません。
一方、
「部署によって仕事内容は違うの?」
「中長期的なキャリアも知りたい」
という疑問が残ったなら、別部署の社員や中堅社員へ話を聞く意味があります。
まず一人に話を聞き、その後に残った疑問を整理しましょう。
人数を増やすこと自体を目的にせず、必要な情報が足りているかを基準に判断してください。
OB・OG訪問の服装や所要時間の目安は?
服装は、企業や相手から案内がある場合はその指示を優先しましょう。
指定がなければ、事前に確認すると安心です。
所要時間については、例えば30分程度を希望として伝え、相手の都合に合わせて調整する方法があります。
大切なのは、
「長く話せば話すほど良い」
ということではありません。
限られた時間で知りたい情報を確認できるよう、
必ず聞きたい質問
時間があれば聞きたい質問
に分け、優先順位を決めておきましょう。
対面・オンラインのどちらでも、約束した時間内で終えられるように意識してください。
質問内容を考えたい場合は、**「OB訪問で聞くべき質問は?目的別の質問例とNG質問」**もあわせて確認してください。
【関連記事:OB訪問で聞くべき質問は?目的別の質問例とNG質問】
まとめ
OB・OG訪問は、働く人との対話を通じて企業や仕事を理解し、自分の選択に必要な材料を集める機会です。
活用する場面によって、確認すべき内容も変わります。
応募先を探している段階
↓
仕事内容や業界・職種の違いを知る
ES・面接に備える段階
↓
企業で実際に行われている仕事を知り、志望動機を具体化する
入社先を決める段階
↓
自分が重視する条件について確認し、企業を比較する
という使い方ができます。
成田さんがこれまで人事やキャリアアドバイザーとして学生を見てきた経験からも、OB・OG訪問で重要なのは、
「何人に会ったか」でも「有名企業の社員に会ったか」でもありません。
重要なのは、
「自分が判断するために必要な情報を得られたか」
です。
まずは、
「今、自分は何を決めたいのか」
を書き出してみましょう。
そのうえで、
「その判断をするためには何が分からないのか」
を整理します。
例えば、
「この企業を受けるか決めたい」
↓
「若手営業の仕事内容がまだ分からない」
↓
「若手の営業社員に話を聞く」
という形です。
そしてOB・OG訪問後は、
「社員から何を聞いたか」
だけではなく、
「その話を聞いて、自分はどう感じたのか」
まで振り返りましょう。
企業から得た情報と自分自身の経験・価値観を照らし合わせることで、
自分に合う業界・企業
自分が重視する働き方
具体的な志望動機
納得できる入社先
を考えやすくなります。
OB・OG訪問をすること自体をゴールにせず、企業や仕事について知ったことを、自分自身の就活の判断につなげることを意識して活用してみてください。
OB・OG訪問を実際に進める際は、以下の記事もあわせて確認してください。



